~あげく, ~末

~あげく ~挙句

 AあげくB

接続

 [V・た / N・する()] + [あげく / あげくに / あげくのN]
 V・た。その(●●)[あげく / あげくに]

◆意味

 長い間Aした後に、とうとうBの結果になった

 ※長い時間をかけて、頑張ってAしたのに、Bという悪い(残念な、悔しい)結果になってしまったいう気持ちに使う。

 ※1回や短い時間しかしていないことの結果には使わない。

 ※「いろいろ」「さんざん」「長い間」など、時間や回数が多いことを表す言葉と一緒に使うことが多い。

 ※「あげくの果て」という言い方もある。

 <例外>Bの結果が悪い結果ではない場合に使うこともある。
  その場合、Bという結果のために長い時間をかけ過ぎだというマイナスの気持ちが話者にある。
  例えば、「彼女は白い服を買うかピンクの服を買うかさんざん迷ったあげく、ブルーの服を買った。」
  「ブルーの服を買った」ことは悪い結果ではないが、悩んだ時間が無駄だなという気持ちがある。

 B after A ※B : something bad.

◆例文

  • (なが)行列(ぎょうれつ)(なら)ばされたあげく()()れになって買えなかった。
  • その(きゃく)は、商品(しょうひん)についてさんざん質問(しつもん)したあげく、何も買わずに帰りました。
  • 食べたくないものを我慢(がまん)して食べたあげく、お(なか)(こわ)した。
  • 待たされたあげく注文(ちゅうもん)していない料理(りょうり)が出てきた。
  • 彼女の買い物に()き合わされたあげくに、センスが悪いと()められた。
  • あの公共工事(こうきょうこうじ)はたくさんの税金(ぜいきん)使ったあげく途中(とちゅう)で取りやめになった。
  • 苦労(くろう)したあげくに失敗(しっぱい)してしまいに()()んでいる。
  • 修理(しゅうり)しようと時計(とけい)をばらばらに分解(ぶんかい)したあげく部品(ぶひん)がなくなり、(なお)せなくなった。
  • 夜遅(よるおそ)くまで勉強したあげく寝坊(ねぼう)してしまい学校に遅刻(ちこく)した。
  • たくさん作ったあげく、食べ切れず、(くさ)らせてしまいました。

~末 ~末に ~末の

 A末、B

接続

 [V・た / N・する()] + [ / 末に / 末のN]

◆意味

 長い間Aした後、Bの結果になった

 ※長い時間をかけてAをしてBという結果を出したという気持ち。

 ※Bがよい結果の場合、長い時間頑張ったという気持ち。

 ※「あげく」と異なり、Bの結果は良いことにも悪いことにも使う。

 ※1回や短い時間しかしていないことの結果には使わない。

 ※「いろいろ」「さんざん」「長い間」など、時間や回数が多いことを表す言葉と一緒に使うことが多い。

 B after A

◆例文

  • 1年以上考えた会社(かいしゃ)()めて留学(りゅうがく)することにしました。
  • 言おうか言うまいか悩んだ真実(しんじつ)を話す決心(けっしん)をしました。
  • 山田教授(きょうじゅ)何度(なんど)失敗(しっぱい)()(かえ)した末に、やっと実験(じっけん)成功(せいこう)しました。
  • 長い話し合いの結論)けつろん)なので、(だれ)もが納得(なっとく)しています。
  • 海外(かいがい)国内(こくない)(まよ)った今年(ことし)のゴールデンウイークは国内旅行(こくないりょこう)に行くことに(きめ)めました。
  • 彼は()()()しむ努力(どりょく)(つづ)けた末に、その会社を一流企業(いちりゅうきぎょう)にした。
  • 何度も何度も説明(せつめい)した末に、やっと住民(じゅうみん)理解(りかい)()られた。
  • )はげ)しいバトルの田中)たなか)さんは)おこ)って部屋)へや)を出て行った。
  • これは、何回も作り直した末にやっと完成)かんせい)した作品)さくひん)です。
  • 彼は)あきら)めずに一生懸命)いっしょうけんめい)がんばった末に希望)きぼう)の大学に合格)ごうかく)できた。

話者の気持ちの違いについて考える

 「AあげくB」と「A末B」はどちらも「長い時間Aをして、Bという結果になった」という意味である。
 しかし、どちらを使うかにより話者がその行為についてどう感じているか違う。

 ①「彼女は悩んだあげく、買いませんでした。」
  ⇒「あんなに時間をかけたのに、買わないの⁉」というマイナスの気持ち。

 ②「彼女は悩んだ末に、買いませんでした。」
  ⇒ただ単に「買おうかどうしようかじっくり考えたのだな」という気持ち。