「~(うえ)は」「~以上(は)」「~からには」の違いを考える

~上は,~以上(は),~からには

「X上はY」「X以上(は)Y」「XからにはY」は、どれも
「Xいう立場・状況だから当然Yだ」という意味です。
置き換えられる場合が多いのですが、置き換えられない場合もあります。

上は ≒ 以上(は) ≒ からには

ということです。

【硬さ】
 「上は」が最も硬い表現で書き言葉に使うことが多く、
 次に「以上(は)」が硬い表現です。
 会話では「からには」を使うことが多いです。

【気持ちの強さ】
 この3つの中では「からには」が一番話し手の覚悟や意志が
 強く感じられますが、その差はあまりありません。
 ※Xの内容が話者の行為ではない場合は、覚悟や意志の気持ちはありません。

【その他の違い】
 「X以上は」のXは人の行為や一般的な事象になりますが、
 「Xからには」のXが一般的な事象となることは少ないです。

  〇雨が降る以上は外で遊べません。
  ×雨が降るからには外で遊べません。
   
  〇予約が取れない以上は旅行にいけません。
  ×予約が取れないからには旅行にいけません。

 「X以上はY」はXとYの行為の主語は異なる場合もありますが、
 「Xの上はY」「XからにはY」はXとYを行う主語が異なると
  不自然な違和感のある日本語になることが多いです。

  〇あなたが謝らない以上、彼は許してくれないでしょう。
  ×あなたが謝らないからには、彼は許してくれないでしょう。
   謝らない人=あなた  許さない人=彼

  〇行くからには、楽しみたいです。
   行く人=私 楽しみたい人=私

  〇行くからには、楽しんで来てください。
   行く人=あなた 楽しんで来る人=あなた

置き換え可能なパターン

Xの内容が話者の状況である場合、置き換え可能です。
この使い方をする場合が多いです。
 〇試合に出る上は、勝つつもりです。

 〇試合に出る以上は、勝つつもりです。

 〇試合に出るからには、勝つつもりです。

置き換えると違和感があるパターン

Xの内容が話者の状況でない場合、置き換えると違和感がある場合があります。

 〇あなたが嘘をつく以上、あなたを信じることはできません。

 ×あなたが嘘をつく上は、あなたを信じることはできません。

 ×あなたが嘘をつくからには、あなたを信じることはできません。

 〇あなたが嘘をつくから、あなたを信じることはできません。

 〇雪が降らない以上、スキーはできません。

 △雪が降らない上は、スキーはできません
 
 ×雪が降らないからには、スキーはできません

 〇「試験前に勉強しないからには、自信があるんでしょうね?」
  (皮肉の意味を込めて相手に確認する言い方)

 ×「試験前に勉強しない上は、自信があるんでしょうね?」

 ×「試験前に勉強しない以上、自信があるんでしょうね?」

 〇試験前に勉強しない以上、悪い成績でも仕方ない。

 ×試験前に勉強しないからには、悪い成績でも仕方ない。